宝石について

宝石の品質(クオリティ)について

世の中には多種多様な宝石が存在していますが、全ての石は原石の時点で大きく3つの階級に分けられているのはご存知でしょうか?

採掘された宝石はまず
その品質の差によって、

・ジェムクオリティ
・ジュエリークオリティ
・アクセサリークオリティ

の3つのどれかに必ず仕分けられます。

品質の非常に優れているものは

ジェムクオリティ

ジェムには劣るものの十分に優れているものは

ジュエリークオリティ

それ以外に石は

アクセサリークオリティ

 

に分けられます。

各クオリティにおける石の比率図

 

 

 

このクオリティが決まるタイミングは採掘されてすぐ、「原石の時」です。

 

磨きもカットもしない状態で、何を見てクオリティを決めているのか?

 

答えは、主にその「透明度」、色石なら「色」もです。

 

「色」の話まですると話が複雑になりますので、次回とさせて頂きまして、

一にも二にも、宝石はその「透明度」が高いものほど「美しい」

ということをここでは覚えて頂ければと思います。

 

つまり、ジェムクオリティやジュエリークオリティになる原石は、

採掘された時点で、とても透き通った美しい原石なのです。

「持って生まれた美しさ(透明度)」というものですね。

ダイヤではそういった原石はソーヤブルと呼ばれています。

 

「クオリティの違いってそんなに違うものなのか?」と思われた方のために、

このクオリティの透明度の差がどれほど違うのか、

身近なもの、たとえば「水を入れたコップ」の見え方の違いで表現させて頂きますと・・・

 

それぞれクオリティは以下のようにイメージして頂くと、分かり易いかと思います。

ジェムクオリティ      :透明なガラスコップ
ジュエリークオリティ    :透明なガラスコップにラップを数枚巻いたもの
アクセサリークオリティ   :牛乳を飲んだ後のガラスコップ

透明なガラスコップから見た水は透き通った透明な水に見えるかと思います。

ジェムクオリティとされる石も非常に透き通った透明度の高い石なのでございます。

しかしラップを1,2枚巻きつけた状態では先と比べ少し透明度がぼけて見えるのではないでしょうか。

ジュエリークオリティの石も一見すると非常に美しい透明度なのですが、実際に同じ石でもジェムクオリティのものと並べて比べるとそのくらい透明度には違いがあります。

アクセサリークオリティにおきましては多くの場合、先の例えのように牛乳を飲んだ後のコップに水を注いだかのように白く濁ったような色合いを見せる物も多くあります。

できればそういった石は避けたいものです。

つまり、ダイヤモンドで言えば、

美しいダイヤは白いのではなく、透明なのです。

逆にとらえ方を変えますと、採掘されている現地の人の「目」は、

そのクオリティの選別が可能ということです。

 

それこそ星の数ほど宝石の原石を見ているわけですから、

それだけ目利き的な意味でも、そして視力的な意味でもその選別は正確で信頼のおけるものです。

 

日本ではどうでしょうか?

意外かもしれませんが現地の人と同じくらいの目利きができる方はあまりおられません。

 

また、宝石(ルース)にはより美しく見せるための人工的な処理が施されているもの多々あります。

加熱処理、照射処理、オイルを流し込んだりなんてのもあります。

 

それを自分の目で見極められたらいいのですが、ものによっては難しいものもあります。

加熱処理なんかは結構見極めるのが難しいです。

 

そこで出てくるのが鑑定書や鑑別書といったものです。

これにより、その石がどのようなものかが分かります。

 

しかし、買い付けをする際にその石に鑑別が付いたものがどれだけあるでしょうか?

そして、いい石というのは稀少です。

買い付けたい人は世界中にたくさんいます。

 

現地で原石の時点で価値が分かり、買い付けができる人と

日本国内でルースを買い付けをする人

各石の産出量の内、ジュエリークオリティーやジェムクオリティーが

全体の10%程しか存在しない中、

後者の方が手にするのは非常に難しいです。

 

そういった理由から日本国内でジュエリークオリティーの石ましてや、

ジェムクオリティーの石を探し出すのは困難となっています。

 

そして、この国が鑑別書や鑑定書に大きな価値を見出し、

結果、消費者までもがその鑑別書を基準にしてしまわなければならないのが現状です。

 

鑑定書や鑑別書の評価が石のすべてではありません。

特に注意していただきたいのは色石などの鑑別書です。

あれは石の状態を記したもので品質を保証したものではありません。

 

ダイヤにおいて鑑定書の4Cばかり過度に主張して、高品質をうたうのも疑問に感じます。

 

鑑別書もそうですが、なぜなら「記号の稀少性」と「美しい宝石の稀少性」は別物だからです。

 

重要なことは鑑定書や鑑別所が好評価だから美しい石というとらえ方をされるのではなく、

美しい石は鑑定書や鑑別所の評価項目に関しても好評価であることが多いという考え方だと思います。

 

高品質な宝石において、天然かどうかは重要ですが、

非加熱だから無処理だから高品質と言うことではなく、

美しい石の上に天然で無処理だから価値があるのです。

 

クオリティの低い天然の無処理石は数多く存在しております。

なぜなら、上記で書いた階級のアクセサリークオリティーの宝石もそのまま研磨してしまえば鑑別書では天然の無処理石だからです。

 

宝石の品質とはカットが美しいという条件下では、採掘された時点で決まっていて、

高品質な石を手にするには

その目で生れもつその石の透明度や色合いを天然なのかどうかも含め、

判断できなくてはいけません。

 

もしくはそれが出来る人から手にすることです。

 

当たり前のように思えますが、プロの世界ですら、鑑別書や鑑定書が品質の評価の基準になりつつある日本では年々難しくなりつつあるように感じます。

 

実際に最近ではジェムクオリティの石を国内で見かけることは少なくなりました。

バブル時代に存在した良質な宝石も海外へと流れています。

 

料理で例えるならば、三ツ星レストランがすごいとわかっていても味を知らなければ

本当の意味での良さを判断する際に、それを天秤にかけることはできません。

 

宝石にも似たようなことが言えます。

実際に見て、目を養うことで、鑑別所や鑑定書は判断の基準ではなく、

一部分とすることが出来ます。

 

そういった意味でも、「いいものを実際に見てみる」ということがなによりも重要であるのですが、

難しくなりつつあるこの現状は宝石について勉強する環境としても、

非常に残念なことです。

 

宝石の品質は宝石が本来もつ美しさで決まります。

言われれば、当然のことかと思われるかもしれません。

 

しかし、業界から生み出されたキーワード(天然、無処理、非加熱、トリプルエクセレントなど)一つ一つは重要な要素なのですが、その一部分をもって、高品質だという解釈は

本質を見失う原因となります。

ハイジュエリーや希少な宝石をお求めの際はご注意して頂きたく記事にさせて頂きました。