ジュエリー製作

pt900 ダイヤモンドリフォームリング製作事例(2)

滋賀県のお客様より指輪のリフォームのご依頼を頂きました。

その製作工程を簡単ではありますがご紹介させて頂きます。

上の写真は指から外れなくなった指輪を病院で切断した状態で持込み頂いた時のものです。

指輪の切り方にはより良い方法がございますので消防署や病院に行かれる前に一度ご相談頂ければと存じます。

そのことについてはまたの記事にて、本題に進ませて頂きます。

このままではもちろん使えませんのと、アーム自体がかなり厚みが薄い状態でもありましたし、石も一石取れているという事もあり、このタイミングで新たにリフォームをご依頼頂きました。

持ち込んで頂きました指輪の石と地金を使ってのリフォームとなります。

持ち込んで頂いた指輪の地金と足らない分の地金をこちらでご用意させて頂き、一つに混ぜ合わせ、角板に致しました。

金槌(かなづち)で叩き、角板を延ばしていきます。

この工程で地金を密に圧縮していくことでより強固で丈夫な角棒へと形成します。

十分に圧縮した角棒を丸めて指輪の形にし、接合部をロー付け(溶接)しました。

この時点で指輪の大まかな形になっております。

この段階で目的の幅や厚み、サイズを微調整で形にできる程度まで計算して角棒も調整しています。

これが一発でできるようになるまでに結構時間がかかるんですよね。 (^_^;)

 

 

ここからは私独特の方法なのですが、先の指輪の形に曲げた平たいリングを全体的にヤスリで削りながら丸く(甲丸状に)していきます。

手作りで指輪を作っている方自体が少なくなっている現代ですが、その手作りをされている中でも甲丸の指輪を平打ち(角張った指輪)の状態から削って形成している方は極稀ではないかと思います。

多くの場合先の角棒の段階で甲丸状の型版に叩きつけたり、ローラーで伸ばすことで予め丸い角棒にしておくことで後はその角棒を丸めることで甲丸リングにするという方法が一般的ではないかと思います。

ですがそれですと決まった型版の形状での甲丸リングしか作れないので、表面のアーチの形状や山の高さなどが自由自在に調整できる手削りで私は甲丸や平打ち甲丸などを形成しております。

手で甲丸や平打ち甲丸の形に削る技術があれば、後からご要望に合わせて形状を微調整できるのもオーダーメイドには重要な技術かと思います。

サイズ直しの質もこれができるかできないかで仕上がりの質にも大きく関わってくるように感じます。

少しまた話が脱線してしまいますが、私はより長くお使い頂ける指輪をできるだけお客様にはご提供していきたい常々考えております。

そのうえで大事にしていることは厚みと幅の条件です。

私は指輪を長く使う上では基本的に厚みは最低1.3㎜、幅は2㎜以上は必要だと考えております。

一般的な鋳造に比べて何倍も丈夫な鍛造製法でも厚みは1.3㎜、できれば1.5㎜をおすすめしております。

鍛造製法で幅が2.5㎜以上でなおかつ、1.5㎜の厚みがあれば、余程の事がない限り変形の心配からは解放される事でしょう。

指輪が良く変形してしまうということでお困りの方の多くは圧縮が不十分である鋳造製品であることや厚みが非常に薄い(1㎜以下)場合が多いです。

それに加え、厚みが1㎜を切りますと着けていても痛みを伴う事も多いです。

指輪を選ぶ際は価格も重要ですがそういった作りの事も少し考慮頂けると、失敗の少ない指輪選びができるかと思います。

 

今回の指輪も真横を見てもらいますと全体的に幅は3.5㎜ 厚みは1.8㎜と十分なボリュームを持たせてお作りしております。

しかも鍛造製法ですのでよほどの事がない限り変形などは起こりません。

話を戻しまして、

次に石をセッティングするための石座部分をドリルで穴をあけながら調整していきます。

今回は持ち込んで頂いた指輪に付いていたダイヤモンド3石すべてを指輪に埋め込む形でデザインしておりますので石それぞれのピッチにピッタリと合うように穴を削っていきます。

両サイドもマーカーに沿って穴をあけて、それぞれの石のピッチに合うようにその穴を広げておきます。

最後に石をそれぞれセッティングして、全体的に磨いて完成です。

シンプルなひっかりを最小限に抑えた、普段使いのしやすい強くで丈夫な指輪というオーダーに沿って鍛造製法の利点を最大限に活かした指輪をデザイン、製作させて頂きました。

同じようなことでお悩みの方様や今回のようなリフォームにご興味を持って頂けましたら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせくださいませ。