宝石について

色から見る高品質な宝石の探し方・見分け方(4)

これまでの色から見る高品質な宝石の探し方・見分け方のシリーズを通して、宝石における、見かけとは違う石本来の色の存在やその色の混ざり具合から生じる、石全体の色の立ちなどが見かけの色となってあらわれることを説明させて頂きました。

このパートではその宝石のもつ元色や単色の見極め方について書かせて頂きます。

色から見る高品質な宝石の探し方・見分け方(3)にて元色を確認するにあたり、微妙な違い程、単純にパッとした見た目の色味では判断が難しいということを述べさせて頂きました。

ではどのように元色を確認するのかと言いますと、

私共はライトやルーペを使い、確認しております。

 

但し、この方法は確認する石がルース(裸石)であることが前提です。

用いるライトは、色が昼白色など自然光に近いもの、一番いいのはハロゲンなど光の強いものです。

 

方法としまして

・ライトをつけ、上にひっくり返したルースを乗せるだけです。

・ルースを真上から覗き込むように見ます。(眩しいので注意してください)

見るポイントとしましては、

 

・ステップ1:元色を確認

 

一番薄い色が元色です。

次のステップに進む前に、まずはその色を覚えておいてください。

 

・ステップ2:単色かどうかの確認

 

元色は覚えましたら、そのままライトを消してください。

ルースはそのままで、今度はその石の中で一番濃い色を見つけましょう。

発見できたらその「一番濃い色」と、さっき覚えた「元色」を比較してみてください。

元色を濃くしたらその色になりますでしょうか?

 

それとも、色が混ざっているように感じますでしょうか?

同じ「立ち」であれば、つまり単色なので価値が高い石となります。

 

ご紹介したライトの方法が最も簡単で、最も元色が見やすい方法です。

眩しいかもしれませんが、慣れるまではライトを使って、元色を見る感覚を覚えなくてはいけません。

慣れたら下図のように、ライトを使わなくても、普通に光を通して、元色を確認することも可能です。

ルースのガードル付近は「最も石の厚みが薄いところ」ですので、元色を確認し易いです。

 

 

世の中には「ライトを使って宝石を見る方法は間違っている」という

情報も転がっているようですが、宝石は光の種類によって見え方が違うものです。

 

たとえば、蛍光灯(室内)の下で見る場合と、太陽光(屋外)の下で見る場合、

当然、自然光の下で見る方が、明るくきれいに見えるものです。

 

しかし、同じ自然光でも、晴れの日と曇りの日では全く異なります。

光について、詳しいことはここでは省きますが、

単純に考えても、いちいち晴れの日だけを選んで買いつけなどできませんし、

一番薄い色さえ見れればよいのですから、どんな種類の光でも「強ければ」いいのです。

 

つまり、ここでのライトの役目は

「色を見る」のではなく、宝石自身が作る、

あらゆる「陰(色が濃いのも陰ということ)を飛ばす」ということです。

 

陰を飛ばした結果残るのが元色ということです。

 

ライトはいつでもどこででも、

宝石を見るための環境条件を一定に揃えるために用いるのです。

 

ここでのお話はバイヤー(宝石を仕入れるプロ)向けの内容です。

それを消費者様向けに配信しておりますのは現在の日本において

買い付けをするプロよりも稀少なルースを集めておられるお客様の方々の方が、

目利きができるという状況が多々あります。

 

一見すると単純であり、繰り返せばだれでも身に着けられる元色の確認や単色かどうかの判断も比較となる元色の濃い、単色なルースが手に入りにくいのも大きな問題となっております。

単色の石の数は稀少であるため、数も少ないのです。

つまり、やり方がわかっても実践できないのです。

 

何より、宝石を見かけの色だけではなく、最も薄い色を見て、色に混ざり気がないかを確認するという意識をもっている業界の人はどれだけいるでしょうか?

 

驚かれるかもしれませんが、

美しい石を追い求めておられるお客様の方が目が肥えておられることが多いのです。

 

もし、ジェムクオリティーの稀少な石を探されているなら、

残念ですが、プロに聞くより、お客様が目利きを身に付けられた方が安心して買い物ができるというケースが存在するのが現状なのです。

 

そして、身に付けるならば、そういった石を何度も繰り返し見て、

感覚を掴まなくてはいけません。

 

もし、見た目が美しいなと思った石を見つけられた際は元色や単色を意識してみてください。

つまり、その石の最も薄い色と最も濃い色の間に差があまりなく、色に混ざり気がないかを確認してみてください。

そうであるならば、色の観点からすれば、日本では数少ない稀少な宝石かもしれません。

 

4つのパートに分けて、宝石の品質について書かせていただきましたが、

まとめますと、重要な要素としまして、透明度です。

これは石がもって生まれた変わることのないものです。

そして色味です、こちらも人為的処理をされていないもであれば色の立ちが良いもの程

稀少です。

そして稀少性を鑑別書の内容からだけでは判断してはいけません。

鑑別書で注目するのは天然石や人為的処理などの有無、カラット(ct)、カットの状態、

産地、などです。大切なことは、実際にその石が稀少であるかどうか判断できる本質的な知識や目も持つことです。

業界の作る記号に惑わされないでくださいね。

 

 

当店にも店主が産出国などの現地や現地のバイヤーの方々から

30年以上かけて集めたジェムクオリティーのルースがございますので

もし、もっと詳しく知りたい、そんな稀少な石を見てみたいなどございましたら、

お気軽にお問い合わせくださいませ。