シルバーの枠に留まっていたアメジストのリングをプラチナでシンプルなデザインにリフォームするご依頼を頂きました。
今回はその事例紹介を製作風景を交えながらご紹介させて頂きます。
製作方法は鍛造(たんぞう)製法による完全手作りでのリフォームです。
良くあるあらかじめ出来た型流しで造られた空枠に石を留め替えるといった単純なリフォームではなく、デザインをご相談しながらその石にピッタリ合った枠を一から作ります。
上記お写真はお持ち頂いたシルバーリングからアメジストを取り外させて頂きました際のお写真です。
こちらが当工房でご用意させて頂きましたプラチナ900でございます。
鍛造(たんぞう)製法では地金を叩いて伸ばしながら圧縮し、高密度で丈夫な角棒に形成しそれを指輪にしていきます。
ですので予めできた型に溶かしたプラチナなどを流し込み固める一般的な鋳造(ちゅうぞう)製法より強度も強く、同じボリュームでも圧縮している分重いのでございます。
そちらについて詳しくは鍛造(たんぞう)製法についての記事をご覧くださいませ。
先の角棒をさらに金槌で叩きながら伸ばしていき、一部は指輪のアーム(腕部分)として丸めます。
余った地金は別のパーツに使います。
余った地金でアメジストを留める石座を作って行きます。
そのため余った地金をさらに伸ばし、それをに2本に分割します。
二本の内一つは石座の土台部分として丸め、内側をアメジストの石の形に合わせて削りピッタリ合うようにします。
指輪のアーム部分にはダイヤモンドをアメジストの両側に2石ずつ埋め込みますのでその穴をあけておきます。
もう一つの余った地金はさらに細く延ばしていき、4分割にします。
これが石を留める爪の柱になります。
先ほど作った石座に4本の爪の柱をロー付け(溶接)します。
これがアメジストを留める石座のベースとなります。
石座の爪となる4本柱はこのままでは太すぎるのでヤスリで削って行きます。
また指輪のアーム部分も平打ち甲丸する(指輪全体にゆるやかな丸みを持たせる)ために丸く削ります。
そして、石座と指輪のアームをロー付けし、指輪全体のベースの完成です。
最後ステップの石留の工程ですが、ダイヤモンドは当工房のものからお好きなものを4ピース選んで頂き、それを使わせて頂きました。
当工房はメレダイヤもお客様とご相談しながら数ある中からお好きなものをお選び頂いております。こちらで勝手にご用意するといったことは致しません。
まずはダイヤモンドからくり留めという石をアームに埋め込み周りの淵で留める方法でセッティングいたしました。
最後にアメジストを留めて、爪や全体を段々と細かい目のヤスリに変えながら軽く削って全体的に整えます。
そしてバフをかけて綺麗に光らせて完成となります。
だいぶおおざっぱではありますが鍛造(たんぞう)製法による完全手作りでの指輪のリフォーム風景をご紹介させて頂きました。
すべて手作業で何度も何度もヤスリをかけながら指輪を形成してゆきますので着け心地も非常によいです。
なにより各パーツを圧縮した高密度な地金から形成しておりますので丈夫でございます。
良くある一般的なキャスト(型流し)製品の場合、爪などは特に細い部分も溶かした地金を流して固めて造っていますので空気などが残ったまま固まりスができていますと非常に弱いです。
石を留め替えたり、外れてしまった石を再度留める際に金属疲労に耐え切れず爪が折れてしまうことがしばしばあります。
そういった細かい部分も丈夫であるところも鍛造(たんぞう)の良い所です。
今後、他にもいろいろな事例をご紹介させて頂ければと存じますので、また是非覗きに来て下さると幸いです。