宝石の品質(クオリティ)において透明度と色味の重要性について前回の記事、
「宝石のクオリティ(品質)について」で書かせて頂きました。
その記事では主に透明度をピックアップしておりました。
今回の記事では色石の品質における色味の重要性
について書かせて頂きます。
私どもの言う、色石における重要な色味とはその石の見かけの色ではありません。
・色石は見た目と真の色は違っており、クオリティに関係するのは真の色味
・真の色とはその石の持つ最も薄い色のこと
・真の色を見分けられれば、それが本当に価値の高い石かどうかわかる
つまり、品質に関係する色とはその石の持つ最も薄い色であり、
それが良いもの(濃い)ほど、価値があるということです。
この宝石がもつ最も薄い色を私どもは元色と呼んでおり、
以後ここでもそのように呼ばせて頂きます。
色石を含め宝石は
「見た目の色」と「本当の色」が違うことが往々にしてあります。
そこで高品質(ジェムクオリティ)の石を選ぶ際は、
その石が本当は何色なのかが判断できないといけません。
なぜなら石は、この「本当の色」によって値段が違うからです。
クオリティを決定する際、色石の場合は色も見ると別の記事の中でも書きましたが、
その見るべき「色」とはこの「元色」のことなのです。
多くの色石において、透明度が高く、元色が濃い石を見分けることができれば、
それは価値の高い良い宝石であると言えます。
宝石は、このようにクオリティと元色によって基準の値段が決定した後、
傷やらインクルージョンやらマイナス要因があれば値引きし、
そうして総合的に石の美しさを考えてはじめて
その「石の評価」が決まるわけです。
元色を見るという技術はバイヤーのような宝石を買い付ける人たちや販売する方々のレベルの話になりますが、消費者の方々にもそのスキルがあると宝石を購入する際にとても役立ちます。
なぜなら、ハイクオリティのジュエリーを買う際に鑑別書や販売員の評価とは別に自身の評価基準を持つことができるからです。
それがそんなにすごいことなのと思われるかもしれませんが、高品質な色石の元色を知っていれば、宝石の買い物で失敗することやセールストークに乗せられて買ってしまうということはほとんどありません。
なぜなら、バイヤーも含め、プロの世界でもこの元色を見極められる方はあまりいないからです。 見方すら知らない人もいます。
例えばルビーという赤色で有名な宝石には最高品質な色にピジョンブラットという色があります。
宝石が好きな方でしたら知っているという方もおられるかと思います。
「このルビーはピジョンブラットの高品質なルビーです」という説明があったとしても
私が知る限りでもビジョンブラットのルビーといわれているルビーは数多くあります。
ネットショップでも検索すればかなりの数がヒットします。
それを比べてみてください!
たぶん比較できるくらいの色の違いがあります。
これは元色と関係なく、画像越しにでも判断出来る内容です。
それだけピジョンブラット(見かけの色)と判定する色の範囲が広いのです。
先にも述べました、色石は見た目と本当の色が大体違うということ、
石それぞれに元色や透明度が異なるからとも言えます。
クリアかつ濃い元色をもつ高品質なルビーが放つ全体的な色味にはピジョンブラットのように見えるものが多いのであって、
ピジョンブラット=高品質ではないということです。
もし、資産価値と成り得るジェムクオリティーの宝石を手にしようと思うと少なくともこの元色を見れる方からしっかりとした説明を受けてから買う、
あるいは自分自身が見れなくてはいけません。
そして、その目利きは簡単なことではなく、地道な経験を積んでいく必要があります。
そもそもの見方や色の混ざり具合や高品質な石の持つ元色など
実際に見ないと難しい部分も多いですが、
今後のブログで紹介できる部分は書かせて頂きます。
今回は宝石が持つ見かけではなく、本来の色の存在と価値基準はその元色も重要であるということを頭の片隅に入れて頂ければと思います。
ご興味、ご質問等ございましたら、お気軽にコメント、お問い合わせくださいませ。